集えば力 ―力を合わせ戦争への道を遮ろう―

安倍政権になってから戦争の影が急激に濃くなってきた。政権が発足するやいなや、あっという間に「特別秘密保護法、そして、閣議決定という横暴な非常手段を弄して、強引に集団的自衛権の行使容認。さらにこの解釈改憲にも飽き足らず、いよいよ露骨に宿願の憲法改正(改悪)をめざしている。まるで明治政府が掲げた富国強兵の国是を踏襲するかのように、いつか来た道の整備を急いでいるのだ。但し昔と違うのは、それがアメリカのため。だがその先に待ち受けているのは、同じく殺戮と破壊の悲惨な地獄の口である。

ところで、これからの戦争はテロも同然だから単純に勝敗で決着はつかず、一度それに巻き込まれたら抜け出すことは難しいだろう。あたかも、原発の事故メルトダウンで暴れ出た放射能が始末に負えないのにも似ている。

しかも政府はその原発すら敢えて再稼働に踏み切った。このことは、政治は国民のためにあるのではなく国家のためにあるのだ、という彼らの傲慢不遜な態度の表明と言わねばならない。国民の一員であるわれわれ美術の表現者は、それを黙って見過ごすわけにはいかないではないか。見過ごすことは己れの怠慢を意味しよう。怠慢は芸術の堕落である。

だから今年もここに“反戦反核”のムシロ旗を押し立てて集まろう。一人一人は弱くとも集えば強い力となるのだから。

2015年4月19日 池田龍雄