呼びかけ

結集して表現の自由を守ろう

時代は個人の願望や人々の意志におかまいなく変わる。グローバル化した世界では変わるスピードも一段と早くなった。最近ではアメリカでトランプ大統領の登場以来、遠慮会釈もなく大国のエゴを剝き出しに再び「強いアメリカ」を唱えて世界を騒がし始めた。

特に、それに対抗する北朝鮮の、蟷螂の斧にも等しい武力増強に、話し合いではなく、実力行使も辞さないとばかり威嚇を続けている。その尻馬に乗って安倍内閣もまた虎の威を借る狐同然、居丈高な姿勢を隠そうともしない。ここでまさか核戦争が起きるとは思えないが、われわれ美術家は、万が一に備えてでもそれを阻止する努力を続けなければならないだろう。

戦争は芸術の敵である。戦争は表現の自由を奪う。表現の自由は芸術の命だ。断じて侵されてはならないものである。

こころある美術家よ この展覧会に結集し力を合わせてそれを守ろう。

2017.6.8 池田龍雄

展覧会概要

芸術には力がある。

今地球上に安心して暮らせる国・安住の地はあるか。
一番強く、一番金持ち、なんでもできるのは自分だけ。

ヒトラー同様に、ここ数年安倍政権による独裁が絶望的に進み、秘密保護法・戦争法・共謀罪の3点セットでごく近い将来に憲法改悪への道も見えてきた。民主主義の子だった我々世代は年齢を重ね、「一番」に心地よさを感じた時代も経験したが。もう「一番」争いのレースからは降りよう、全員は一番にはなれない、二番以下を蹴落とすレースはもうやめにしよう。

芸術は、遠い昔から時代の権力者の力の誇示の道具として使われてきた。だが同時に、民衆の力を鼓舞するための手段としても生き続けてきた。シケイロスやリベラの大壁画、ベルリンの壁、パレスチナの長大な分離壁に囲い込まれた人々は今も描き続けている、最近のバンクシーの活動も素晴らしい。表現することで〈力〉が湧き、見る側も〈力〉を受け取ることができる。それが、芸術の力。

万物が共生する「ムーミン谷」のような、皆が安心して暮らせる場所を、自由の場所を、ここ丸木美術館でも作り出すことはできないか。

『今日の反核反戦展2017』への皆様の参加をお待ちしております。

今日の反核反戦展2017 実行委員会  文:中村安子


名 称
今日の反核反戦展2017
会 期
2017年11月23日(木祝)~2018年1月13日(土)
9:30〜16:30(月曜/年末年始12月29日~1月3日休館)
会 場
原爆の図丸木美術館(企画展示室を使用)
主 催
原爆の図丸木美術館、今日の反核反戦展2017実行委員会
内 容
平面作品(絵画・版画・イラストレーション・漫画・写真など)
立体作品(インスタレーション・彫刻)
出品申込み
2017年の出品募集は終了いたしました。
来年のご参加をお願い致します。

原爆の図丸木美術館
〒355−0076埼玉県東松山市下唐子1401
TEL.0493-22-3266
FAX.0493-24-8371

出展作家

朝倉俊輔 『落天3.11』
池田龍雄
池原浩子 『国家の牙/2017』
石川雷太 『サリン・ISIS・日本会議』
石川茂 『愛と平和の種子を蒔くライオン』
井上活魂 『人』
大津年雄雄
大橋範子 『行こう、行こう、Letting go』
大西弘之 『悲しみの道化師』
大八木藍野 『安全神話』
小畑和彦 『人が落とさにゃ落ちてこん』
大西弘之 『悲しみの道化師』
柿沼倫子 『原発はいらない、願いの祈りの光を煌めかせて』
影山あつこ 『縄文の ハート人の祈り』
金子清美 『彼岸 此岸 此岸 彼岸』
金原寿浩 『ブリューゲルも知らない日本のバベルの塔』『ヤンバルクイナの楽園』
栗橋ノリオ 『抗う人々』
黒田オサム 『ちんぷんかんぷん』
小林政雄 『僕の時空』
光山明 『層としての風景 -日の丸、戦争博物館-』
小杉和美 『energy』
近藤あきこ 『たとえ天が何回落ちようとも』
坂口寛敏 『Field of pascal 2017-4』
佐藤俊男 『ヒットラーの亡霊』
潮田友子 『時の重なり』
シマカワヤスヒロ 『2017092611591350』
島村宗充 『棒と画鋲(10)』
鈴木文枝 『平和への願い』
鷲見純子 『炉心崩壊・白煙–海!』
清野光男 『17-B メタルレイン フクシマ デブリ』
清野裕子 『いのち』
高倉和郎 『Fuchi-1 』
高田眞佐子 『何があっても生き延びよう!』
滝清子 『座り込めここへここへ座り込め』
瀧口弘毅 『黒い雨の中』
田島和子 『fragments…世界の断面<武器商人>』
建畠朔弥 『高気圧』『メデューサ』
谷口僚 『世界に愛と平和の花をみんなで咲かせよう』
出店久夫 『宙天球』
永松健 『循環』
中村安子 『わたしの広島ノート・Ⅱ』
奈良幸琥 『「白き龍に捧ぐ」 ヒフミ祝詞』
原健吾 『耄碌する民主主義[貌]』
ヒーロー伊藤 『faith』
平山延子 『かすかな風』
星野文昭 『暁子と行く、朝陽そそぐ、菜の花咲く美瑛の丘(No.159)/沖縄がはぐくむチェルノブイリ、フクシマの生命(No.160)』
堀川紀夫 『E-Stamp Series 2017』
本多和夫 『人間とは何か?』
本多文代 『生きる』
マエノマサキ 『家がここだ』
前山忠 『国家の視界2017-Ⅱ』
満窪篤敬 『台風』
宮川chapa 未都子 『漂流列島と嘆きの天使』
山田徹 『月ノ血〜五族協和による』
柚木ミサト 『すべてのぶきをおにぎりに』
吉岡セイ 『嗚 呼、失語』
日本憲吉(村田訓吉)『ガイアの民P3578』
総合工作芸術家 だるま森 『うちなる声 わたしの宙~反戦反核展に寄せて』
ユイマール(清水公明+照屋夏樹)『DOCUMENT: GROTESQUE KNIGHT in SABAE 2017.8.6』
THaNATOS6(岩田恵×阿部大輔×目羅健嗣)『シン・ネコラの逆襲』
A3BC 反戦・反核・版画コレクティブ 『記憶』
SY プロジェクト(石川雷太、今井尋也、万城目純、内田良子、多田美紀子、佐野友美)『ゼロベクレル・プロジェクト/カミカゼ』

同時開催展—朝鮮学校 美術部による特別展示

境界族『滲む、溶ける、混ざり合う。』

2F ギャラリーにて同時開催

境界線によって分かれた世界はやがて滲み、溶かされ、混ざり合うだろう。「あちら側」と「こちら側」という概念を越え「私たちの表現」を生み出す。学生によるアーティスト・グループ「境界族」による展示です。

スライドショーには JavaScript が必要です。

『境界族』
琴善鈞 張明希 朴美保 高有輝 金晃輝 鄭柚奈 朴慶奈 李花鈴 金容伯 李炳佑 金懍娜 桂英未 李泰勲 金伽玲 朱智成 金滉基 梁唯心 金陸斗 具潤亜 李俊輝 金昌栄 鄭大悟

イベント

オープニング・イベント

11月23日(木祝)  12時30分より
参加自由(当日の入館券が必要です)
交流パーティー、パフォーマンス公演、朝鮮舞踊公演
原爆の図丸木美術館 観音堂前、他(雨天の場合は場所を変更します)

パフォーマンス出演 (順番は未定です)
■東京朝鮮中高級学校 中級部舞踊部 特別公演
■朝鮮学校美術部「境界族」によるパフォーマンス
■奈良幸琥
■黒田オサム(ほいと芸)
■ユイマール(沖縄の歌)
■大橋範子『DEEP DEMOCRACY』
■SY プロジェクト『ゼロベクレル プロジェクト』
石川雷太(ノイズ)万城目純(ダンス)山田裕子(ダンス)
内田良子(朗読)佐野友美(パフォーマンス)柳静(二胡)
■THaNATOS6 岩田恵(箏)× 目羅健嗣(パフォーマンス)
■日本憲吉( 村田訓吉)
『表現の魂・表現の自由を叫ぶ/日本国憲法前文朗読』
+ガスバーナーパフォーマンス

『 朝鮮/ディアスポラのアート、この日本の盲点』

12月9日(土)  13時30分より
入館料800 円+講演参加費1000 円
講師:アライ=ヒロユキ
※朝鮮学校の生徒によるパフォーマンスあり
朝鮮半島から世界各地に離散したコリアン・ディアスポラのアートとはどのようなもの
でしょうか。これを探ることは、歴史認識、多文化共生、美術の制度など、日本の
さまざまな問題系の問い直しにつながります。さらに、世界のアートの最新潮流の
注目にもなるのです。朝鮮半島の戦争、差別の激化が懸念されるいまだからこの
問題を、アライ=ヒロユキが読み解きます。

アライ=ヒロユキ
1965 年生まれ。美術・文化社会批評。美術、社会思想、
サブカルチャーなどをフィールドに、雑誌、新聞、ポータル
サイト、展覧会図録などに執筆。
著書に『天皇アート論ーその美、“天” に通ず』(2014 年、
社会評論社)、『ニューイングランド紀行 アメリカ東部・
共生の道』(2013 年、繊研新聞社)、ほか。

『 今日の反核反戦展』アーティスト・トーク

2018 年1月13日(土)  12時30分より
参加自由(入館料別途)
『今日の反核反戦展2017』の出展作家が自作について語ります。
パフォーマンス、弾き語りなども予定。